Nature ハイライト

宇宙:タイタンの非季節性の氷雲

Nature 514, 7520

2012年5月、カッシーニ探査機に搭載されたイメージングサイエンスサブシステムにより、大規模な雲状構造が土星最大の衛星タイタンの暗い南極上に見つかった。それ以来、この雲は、非常に高高度(300 km)で高南緯度の大気領域に見られている。この領域は温度が高過ぎて、タイタンで見つかっているどんな微量ガスも凝結しない場所である。こうした正体不明の雲が今回、カッシーニ探査機の可視光・赤外線マッピング分光計により得られた近赤外スペクトルを使って調べられ、そのデータから、シアン化水素(HCN)のマイクロメートルサイズの氷粒子からなる雲が明らかになった。これは、2012年初期に冬の極渦の内部に見られた、タイタン大気の劇的な冷却と矛盾しない。このような冷却は、循環モデルによる予測よりも100 K低い温度に達するもので、極渦にこれまで観測されている高緯度域での温度上昇とは対照的である。

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