Nature ハイライト

細胞:ヒト繊維芽細胞から作製された肝細胞

Nature 508, 7494

マウス初代培養肝細胞のヒトアルブミン(赤色)とKi67(緑色)の蛍光染色画像。マウス肝臓に移植したヒト繊維芽細胞由来の肝細胞が、移植後も機能し、増殖していることが分かる。
マウス初代培養肝細胞のヒトアルブミン(赤色)とKi67(緑色)の蛍光染色画像。マウス肝臓に移植したヒト繊維芽細胞由来の肝細胞が、移植後も機能し、増殖していることが分かる。 | 拡大する

Credit: Milad Rezvani

これまでの研究で、ヒトの胚性および誘導多能性幹(iPS)細胞から肝臓細胞を作製したことが報告されているが、そうした細胞を用いて肝臓組織を再生させる試みには、移植細胞が増殖しないことが障害となってきた。今回H Willenbringたちは新しい戦略を取り、ヒト繊維芽細胞を成熟肝細胞に変換させて、マウスの肝臓を再生させた。この方法では、ヒト繊維芽細胞を誘導万能性状態(induced pluripotent state)まで到達させず、誘導多能性前駆細胞(iMPC;induced multipotent progenitor cell)状態に再プログラム化する。著者たちは、iMPCから、内胚葉前駆細胞(iMPC-EPC)を得て、移植後に成熟して増殖できる代理肝細胞を作製した。この研究は、in vitroで作製されたヒト肝細胞によるマウス肝臓の顕著な再生が実現可能であることを実証しており、この系がヒト肝疾患の自家治療の研究モデルとして有望であることを示している。

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