Nature ハイライト

地震:記録史上最大の地震は400年にわたり準備されていた

Nature 437, 7057

1960年にチリを激しく揺り動かした地震(マグニチュード9.5という記録に残っている中で最大の地震)に先行してほぼ400年にわたる応力の蓄積があったことが、その地域に埋まっていた土壌や砂の解析によって明らかになった。歪みは、1575年にスペインの征服者たちが経験した大地震以来ずっと断層に蓄積されてきたのである。  この地域では1737年と1837年に地震が起きていたため、地震学者たちは1960年に起きた巨大地震をうまく説明できずこれまで困っていた。なぜなら、マグニチュード9.5の地震を起こすのに十分な応力を断層に蓄積するだけの時間がないと思われたからである。今週号でM Cisternasたちは、1960年より前に起きたこれらの地震は、1960年の地震断層の中心に近い研究対象地域では、ほとんど沈降や津波を起こさなかったと報告している。つまり断層に蓄積された応力の大部分は、おそらく解放されなかったのだろう。  過去2,000年にわたり堆積した土壌や砂を調べた結果、大陸の西岸にあるナスカプレートと南アメリカプレートの境界に沿った断層で、これまでの地震がいつどのようにして起きてきたかが明らかになった。1960年の地震は、ナスカプレートが100年あたりほぼ8 mの速度で大陸の下に滑り込んでいる、この断層の1,000 kmにわたる部分での250年から350年分の動きに相当する。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度