Nature ハイライト

光学:レーザー周波数コムを利用したラマン分光

Nature 502, 7471

光学分光や光学顕微鏡の進歩は、物理学、化学、生物学の分野全体に多大な影響を与えた。特に有用であるのが、化学的に高い感度で非破壊的に、理想的には高い時間空間分解能で、複雑な系を調べられる無標識法であり、これが得られるのがコヒーレントラマン分光である。井手口拓郎(ドイツ・マックス・プランク量子光学研究所)たちは今回、2つのレーザー周波数コムを用いればコヒーレントラマン分光を実施でき、広い帯域幅にわたるスペクトルをマイクロ秒の時間スケールと高い分解能で単一検出器によって測定できることを示している。システムの開発をさらに進めていけば、この方法により、分光学分野ばかりでなく、例えば生物学的過程のリアルタイム顕微鏡観察でも、非常に興味深くて新規な可能性が生まれることが期待される。

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