Nature ハイライト

Cover Story:魔法の瞬間:中性子数34のエキゾチックなカルシウム54同位体は二重魔法数になる

Nature 502, 7470

理化学研究所RIビームファクトリーのγ線検出器アレイDALI2。
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Credit: Dr Satoshi Takeuchi

原子核中の陽子と中性子は、エネルギー準位間の大きなギャップに対応して、それぞれ異なる殻を形成し、これは、原子中の軌道を回る電子にある程度似ている。天然に存在する安定な原子核では、陽子あるいは中性子の数が2、8、20、28、50、82あるいは126という、いわゆる魔法数の場合に完全に占有された殻が生じる。陽子と中性子の不均衡が大きい不安定な原子核では、新しい殻が現れ、他の殻は消えて、魔法数が進化することがある。理化学研究所RIビームファクトリーで発生させた高速の放射性入射核が引き起こす陽子ノックアウト反応を使った、中性子過剰核カルシウム54(20個の陽子と34個の中性子からなる)の分光学的研究により、中性子数34がこの系では魔法数であることを直接示す証拠が得られた。この結果によって、そのような魔法数の存在について、以前からあった不確実性が取り除かれ、エキゾチックなカルシウム54同位体の中性子と陽子の数における「二重魔法数」という性質が確認された。表紙は、カルシウム54核の励起状態から放出されるγ線を測定するのに使われたヨウ化ナトリウム検出器である。

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