Nature ハイライト

微生物学:細菌性髄膜炎の病原体は宿主の体温を測る

Nature 502, 7470

ヒトの病原体である髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)は、敗血症や髄膜炎の原因菌であり、多糖からなり、細胞外液中での生存を助ける莢膜などのさまざまな防御機構を進化させてきている。C Tangたちは、髄膜炎菌での莢膜の発現が、莢膜の生合成に必要な3つの遺伝子のmRNAの5′非翻訳領域(5′ UTR)に位置するRNA温度センサーによって調節されていることを明らかにしている。この細菌は、炎症や免疫エフェクター細胞の動員に伴う体温上昇を検出することで鼻咽頭粘膜の炎症状態を感知しているらしい。元来は共生細菌である髄膜炎菌は、こうすることで自己の防御機構を強化し、インフルエンザウイルスなどの共感染しているウイルス病原体に対する宿主応答に抵抗できるようになる。

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