Nature ハイライト

Cover Story:慣性という謎:地球の自転が時空を変形する仕組み

Nature 449, 7158

乗り物が加速・減速したり曲がったりするときに感ずる引力や遠心力は、「慣性」の物理的現れである。慣性は外力が働かないときに、物体を静止状態に保ったり、あるいは直線上を等速移動させたりする。一般にニュートンの運動の第一法則で定義される「古典的」慣性の性質や、アインシュタインの一般相対論によれば、自転する質量に伴うとされる慣性系の引きずりは、長い間物理学者を魅了してきた。今週号のReview ArticleでI Ciufoliniは、慣性系の引きずりの研究における、地球周回人工衛星が行った測定に基づく最近の進歩について考察している。表紙は、NASAのGRACE計画で測定された精密な重力値を用いた、全地球重力ポテンシャルモデルEIGEN-GL04Cから導かれた重力異常を示している。地球の自転は空間、そして時間までも引きずっており、壮大な尺度の慣性系の引きずりを示している。

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