Nature ハイライト

保全:漁業の魚への本当の影響

Nature 443, 7113

漁業は海から魚を取り去って、魚資源を激減させる。これは当然のことであるが、1970 年代後半には理論研究から、漁業は魚個体群の環境変動に対する回復力も低下させることが示唆された。この問題に関する議論は、これまで理論上のものにとどまっていた。しかし、1940 年代にカリフォルニア沖でイワシ個体群が崩壊した際に開始された、50 年間に及ぶ当地での子魚調査の結果が利用可能となり、この問題に関するデータが得られた。それによると、どうやら漁業は実際に、魚の除去そのものをはるかに超えるようなやり方で、漁獲種個体群の変動性を増幅させてしまう(回復力を低下させてしまう)らしい。その原因は、より大型で魚齢の高い個体がまず捕獲されることによって、齢構成の頂部が切り取られてしまうことにあるようだ。そうすると、漁獲種の個体群崩壊を回避するには、総バイオマスを維持するだけでなく、個体群の齢構成を維持するような漁業管理も行わなければならないと考えられる。

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