Nature ハイライト

進化:オルステン型の新しい化石

Nature 449, 7162

近年、後生動物の初期進化に関する考え方は、「オルステン」型の化石によって大きく変化した。この種の化石は、胚や節足動物の幼生とみられる生物の軟組織が極めて良好に保存されているのが特徴である。「オルステン」という名称は、この種の化石が最初に見つかったスウェーデンの石油分を含んだミョウバン頁岩の名前からきている。同じように保存状態のよい化石は、それ以来、他の場所でも見つかっている。重要なのは、そうした化石産出の場所に今回、中国のカンブリア紀前期層が加わったことだ。系統的に現生の甲殻類につながる「真正甲殻類」の化石は、およそ5億年前から化石記録に広くみられる。中国で今回新しく出土したオルステン型の化石群には、立体構造が細部まできれいに保存された、知られるうちで最古の真正甲殻類が含まれていることから、この分類群の化石記録の年代は大きくさかのぼることになる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度