Nature ハイライト

Cover Story:「緑のサハラ」での酪農を調べる:アフリカでの最初の乳製品使用は紀元前5千年紀頃であることが、陶器に残った残渣の年代測定から明らかになった

Nature 486, 7403

Wadi Imhaの岩絵。
Wadi Imhaの岩絵。 | 拡大する

Credit : Roberto Ceccacci, © The Archaeological Mission in the Sahara, Sapienza University of Rome

表紙の岩絵は、家畜化したウシを描いた8000〜5000年前のもので、リビアサハラのタドラット・アカクス山地にあるWadi Imhaで発見された。搾乳の風景を含むものまであるこうした絵は、この地域に広く見られ、完新世の「緑のサハラ」で暮らしていた古代人の生活でウシが重要な役割を果たしていたことを示唆している。だが、岩絵の年代測定が困難であることは、広く知られている。今回J Dunneたちは、ローマ大学サピエンツァ校の考古学調査隊がリビアサハラのTakarkori岩石壕で発掘した陶器に吸収されていた食物残渣の同位体分析の結果を用いて、紀元前5千年紀という先史時代のアフリカの考古学的記録の中で酪農を示す最古の明確な化学的証拠を発見したことを報告している。この知見は、家畜化したウシや酪農経済が、古代サハラの牧畜中心の生活に存在していたことを裏付けている。(Letter p.390)

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