Nature ハイライト

物理:反物質の分光研究に向けて

Nature 483, 7390

トラップから放出され、ALPHA装置の内壁で対消滅する反水素原子。
トラップから放出され、ALPHA装置の内壁で対消滅する反水素原子。 | 拡大する

Credit : CERN

CERNの反陽子減速器を使って行われているALPHA実験の目的は、水素原子と反水素原子のスペクトルの比較、つまり物質原子と反物質原子のスペクトルの精密な比較である。この比較によって、CPT(荷電共役、パリティ、時間反転)対称性、すなわち素粒子物理学の標準模型の基礎部分が検証可能になると考えられている。今回、この目標への最初の一歩が報告された。原理証明実験において、ALPHAチームは低温の反水素原子を磁気的にトラップし、共鳴マイクロ波放射との相互作用を観測した。さらに、マイクロ波によって放出された反水素原子の対消滅を直接検出した結果も報告されている。

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