銀河形成のシミュレーションは、宇宙の大部分は観測できない冷たい暗黒物質で構成されているという仮定に基づいている。こうしたモデルでは、矮小銀河は天の川銀河が所属する銀河群(局部銀河群)に見られるよりずっと多く存在すると予測されているが、局部銀河群が特異である可能性もある。矮小銀河は、その恒星の光が暗すぎて遠方では見えないのが普通だが、Vegettiたちは今回、重力レンズ効果を用いて、赤方偏移0.881という宇宙論的遠方にある銀河に矮小伴銀河が存在することを報告している。この暗黒物質からなる伴銀河は、天の川銀河の周辺にある、いて座の矮小銀河と似ており、冷たい暗黒物質に基づくシミュレーションからの予想と95%の信頼水準で質量関数が一致すると見積もられている。
2012年1月19日号の Nature ハイライト
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