Nature ハイライト

医学:「肥ると若死に」は本当らしい

Nature 429, 6993

ダイエットしたって人生が長くなるような気がするだけだと思っているなら、考え直した方がいい。食べる量を思い切って減らすと、マウスでは実際に寿命が長くなることがあるのだ。 だが、どうしてそうなるのだろうか。L Guarenteたちは、食餌と老化という見かけ上はまったく別々な2つの連関を明らかにする第一歩となりそうな結果を発表した。 酵母では、SIR2とよばれる遺伝子が寿命を長くする働きを持つ。Guarenteたちは、この遺伝子に相当するマウスの遺伝子Sirt1について調べ、これが食物の欠乏を感知する機構の一員であることを明らかにしている。食物が欠乏すると、Sirt1は脂肪の管理を行っているペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPAR-γ)の活性を抑制する。PPAR-γは脂肪の蓄積を調節しているが、蓄積が起こるのは食物が豊富にあるときだけである。長寿に結びつくような飢餓食の類を与えられているときには、蓄積された脂肪を利用しなければならず、Sirt1が働いてPPAR-γを不活性化する。このように、ダイエットを介して起こる長寿の第一段階には、脂肪蓄積装置がかかわっているらしい。脂肪蓄積とヒトの老化が正確にはとのように結びついているのか、それはまだわかっていないが、酵母でこれまでに得られた知見に加えて、Sirt1が中心的な役割を果たすと立証されたことは幸先の良いスタートといえよう。

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