Nature ハイライト

視覚:ミツバチの小さな脳をみくびるな

Nature 429, 6993

一般化は、人間の頭脳の見事な処理能力を示すものであるが、私たちはこれをあたりまえのことと思っている。例えば、私たちはプードルやゴールデンレトリーバーやチワワはすべて、「犬」の仲間であることを知っている。これらの犬がいろいろな点で非常にちがっていても判断を誤ることはない。昆虫の脳はとても小さいのに、それでも一般化の能力をもつと聞いたら意外に思うかもしれないが、M Giurfaたちはミツバチの一般化の能力は従来考えられていたよりもずっと高度であると報告している。 ミツバチが複雑な視覚刺激を1つの特徴に基づいて認識し、その特徴を共有する新たな刺激に対する選択を一般化できることは既に知られていた。しかし、このような行動が示されるのは、1つの視覚的特徴を使用する場合に限られており、ミツバチが視覚パターンの学習時に、異なる特徴を結びつけられるかどうかについては諸説があった。Giurfaたちは今回、4つの向きの異なる棒からなる共通のレイアウトをもつ一連の複雑なパターンで訓練されたミツバチが、すべての棒の向きを同時に、しかも適切な位置に記憶して、訓練されたレイアウトと共通点のある新しい刺激に対する反応を一般化することを報告している。つまり、Giurfaが「ミニ・ブレイン」と呼ぶミツバチの脳は、非常に高性能の知的処理能力をもつ。これによってハチは、物体を柔軟で一般化されたカテゴリーに分け、外界を意味のあるものとしてとらえているのである。

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