Nature ハイライト

化学:多角化する不斉触媒

Nature 470, 7333

キラルブレンステッド酸が触媒する求核付加反応に関するこれまでの研究は、イミンやアジリジン、カルボニルなどの分極したヘテロ原子を含む官能基に限定されていた。この限界は、オレフィンへの酸触媒による「マルコウニコフ」付加が1世紀以上前から知られているにもかかわらず、まだ越えられていない。今回、ジエンとアレンの分子内ヒドロアミノ化とヒドロアリール化をキラルジチオリン酸が触媒して、複素環式生成物を非常に優れた収率とエナンチオマー過剰率で生成できることが示された。この反応の機構について、酸触媒がジエンに付加して、その結果生成されたジチオリン酸塩中間体のSN2′置換が起こるという仮説が出されている。提案されたこの機構は、質量分析法と重水素標識法による研究で裏付けられている。

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