Nature ハイライト

材料:甲虫の外骨格をまねた新しいキラルネマチック材料

Nature 468, 7322

自然界では、外骨格を構成するキチンがキラル組織構造を作っているために虹色を呈する甲虫が存在する。M Maclachlanたちは、そうした甲虫の殻にみられる設計原理にヒントを得て、再生可能なセルローステンプレートを使ってらせん状の細孔が導入されたガラス薄膜を作製した。こうしたキラル構造によって、この材料は特定の波長の光を選択的に反射できるようになった。反射する波長は、合成時にシリカとセルロースの比を変えることによって、可視スペクトル全域にわたって調節可能である。この材料は自立でき、水を吸収すると直ちに無色化するが、乾燥させると色は復活する。この材料がもつ、キラリティー、メソ多孔性、フォトニック特性というこれまでにない組み合わせは、新しいコーティングやスマートウインドウ、センサーやディスプレイなど、さまざまな用途に役立つ可能性がある。

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