Nature ハイライト

Cover Story:ソーシャルサービス:標準的な自然選択説によって真社会性の進化を説明する

Nature 466, 7310

アリや、スズメバチ、ミツバチなどの多くのハチ類のような真社会性をもつ昆虫は、生殖能力をもつ女王と不妊のワーカーによって構成される階層的な社会集団を形成する。これは、一部の個体が自分の生殖能力を犠牲にして、他個体の子孫を養育することであり、ダーウィンはこの事実が進化理論上の難題であることを認めていた。この現象に関して最も広く受け入れられている説明は、包括適応度に基づく血縁選択理論に立脚しており、個体の適応度は、血縁個体の子孫の生存率を高めることによって増強されるというものである。Analysisでは、M Nowak、C TarnitaおよびE O Wilsonが、この考え方に限界があることを指摘している。彼らは、包括適応度が標準的な自然選択の直接適応度の代替として有効であるのは明確に決められた一部の状況だけに限られ、一般化は不可能であることを数学的に実証している。集団構造の厳密なモデルという状況では、標準的な自然選択理論の方が簡明な説明を与えることができる。表紙は、栄養交換、つまり液状の食物の社会的な相互交換を行っているクロヤマアリの仲間(Formica obscuripes)の同巣ワーカーである(Analysis p.1057; www.nature.com/podcast)。

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