Nature ハイライト

遺伝:肺がんの変異

Nature 465, 7297

ゲノム塩基配列完全解読によって、肺がんを含め、多くのがんの変異スペクトルについて知見が得られている。最新のシーケンシング技術を使えば、変異の差異をゲノム全域にわたってとらえることも可能になっており、今回、肺がんで実現した。煙草を15年間にわたって1日平均25本吸ってきたと報告されている男性の原発性肺がん(腺がん)と、それに隣接する正常組織の完全ゲノム塩基配列の比較が行われ、50,000個を超える点突然変異が明らかになったのである。そのうち530個について詳しい検証が行われ、392個はコード領域にあり、KRASがん原遺伝子の変異と増幅のような既知の変異も含まれていた。これらのデータは、遺伝的に複雑な腫瘍には部分的に重複する変異が多数含まれている可能性を示唆しており、がんの原因となる頻発性のドライバー変異の同定には、もっと数多くの試料の塩基配列解読が必要だろうと考えられる。

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