Nature ハイライト

細胞:タンパク質をデザインするリボソーム

Nature 464, 7287

望ましい性質をもつ新規アミノ酸を化学的に作製しても、細胞に備わる機構を使ってタンパク質へとうまく導入できるのは、これまでほんの一部だけだった。また、導入可能な場合ですら、非天然型アミノ酸は1回に1個しか加えることができなかった。理論的には、天然のタンパク質合成系で使われている塩基3個からなるトリプレットコドンでなく、塩基4個が一組のクアドルプレットコドンを使えば、非天然型アミノ酸を割り当てられる「空白のコドン」を余分に作るゆとりが生じる。天然のリボソームはクアドルプレットの読み取り効率が非常に悪く、効率を上げるように進化させるとプロテオーム全体を誤読してしまうと考えられている。J Chinたちは、この問題を回避するため、非天然型tRNAシンテターゼとtRNA対を使ってクアドルプレットコドンを効率よく読み取る平行あるいは「直交性」のリボソームを作り、人工的に進化させた。この系を使えば、遺伝的にコードした「デザイナータンパク質」に、最大200種類もの新規アミノ酸を取り込ませることが可能である。

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