Nature ハイライト

医学:心疾患のリスク因子を同定

Nature 464, 7287

染色体9p21上のDNA領域の1つに生じた遺伝的変異は冠動脈疾患の発生率と関連があることが、数年前から知られていが、その関連がどのようなものなのかはまだわかっていない。それは、問題となる58キロベースのゲノム領域に既知のタンパク質をコードする遺伝子が存在せず、冠動脈疾患への関与が知られている主な因子との関連性は一見ないようにみえるからである。今回、このDNA領域を欠くマウスを用いた実験により、染色体上のこの領域が、約10万個の塩基対を隔てたところにある2つの遺伝子の心臓での発現を調節していることが明らかになった。Cdkn2aCdkn2bというこれら2つの遺伝子は、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子をコードしており、モデルマウスでこれらの遺伝子の発現を抑制すると、大動脈平滑筋細胞の過剰な増殖が認められた。この結果は、染色体9p21の変異と関連がある心臓疾患感受性の根底に、血管細胞増殖の調節異常があることを示唆している。

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