Nature ハイライト

Cover Story:緑色蛍光タンパク質の蛍光発生過程:古典的な遺伝子発現マーカーの蛍光を誘導する振動

Nature 462, 7270

オワンクラゲ(Aequorea victoria)から得られる緑色蛍光タンパク質GFPは、効率のよい生物発光を示すため、生命科学分野で遺伝子発現マーカーとして広く用いられている。だが、この生物発光を生じる励起状態プロトン移動の詳細は、まだ十分に解明されていない。Fangたちは、GFP発色団のフェムト秒誘導ラマン分光測定により詳細な時間分解振動スペクトルを得て、低振動数の骨格振動がGFPに重要なプロトン移動過程を起こさせるようすを明らかにしている。この方法は、莫大な数の生物学的研究にとって重要な反応を解明するばかりでなく、多次元化学反応時の分子構造変化のリアルタイム観測を可能にするものでもあり、反応機構の決定に幅広く応用できると考えられる。表紙は、光で励起されたGFP発色団が、振動によりタンパク質内部にプロトンを移動させるのに適した形状をとるようになるようすを示している。このプロトン移動によって、明るい蛍光が生じる(Letter p.200, Making the paper p.135)。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度