Nature ハイライト 進化:「高尚な」変異株が不正を打破する 2009年10月15日 Nature 461, 7266 タマホコリカビ類(Dictyostelium)などの社会性アメーバは、繁殖に際して子実体を形成するために、個体どうしが協力する必要がある。こういう過程では、ほかのどんな社会でもそうだが、代価を負担せずに恩恵を受ける不正な個体が極めて生じやすい。しかし、不正を働く個体がいつもいい目を見るとはかぎらない。不正行為は、血縁識別や不正個体の適応度の低さなど、さまざまな機序によって制限されている。理論的に、不正個体への抵抗性をもつ変異体も発生することが示唆されており、今回キイロタマホコリカビ(D. discoideum)で、不正個体抵抗性系統が分離された。抵抗性系統は必ずしもほかの系統から搾取するわけではなく、そのため協力が保たれることから、不正個体への抵抗性は「高尚な」戦略のようにみえる。 2009年10月15日号の Nature ハイライト 脳:場所細胞の場所のわきまえ方 物理:スピンアイスの磁流 材料:結晶にうまくつながる準結晶 化学:α-アミノ酸を大量に合成する 地球:氷床の薄化を予測する 海洋:古細菌のアンモニア酸化 進化:「高尚な」変異株が不正を打破する 脳:読み書きを司る脳領域 生理:魅力的な口説き 細胞:主役は光 目次へ戻る