Nature ハイライト 発生:外肢の再生 2009年7月2日 Nature 460, 7251 サンショウウオは外肢再生研究に大いに役立つモデル生物である。肩から手の間ならどこを切断しても、前駆細胞集団である再生芽の形成が誘導され、失われた部位が再生される。これまで再生芽の細胞は、外肢内部にある細胞が脱分化して形成されると考えられてきた。今回、サンショウウオの一種であるメキシコサラマンダー(Ambyostoma mexicanum;通称アホロートル)での研究で、再生芽は分化能の限定された前駆細胞からなる異種混成集団であり、各細胞はそれぞれ由来する組織の記憶を保持していることが明らかになった。外肢再生は、完全な脱分化による多能性獲得を伴わずに起こり、この知見は再生医療に重要な意味をもってくると考えられる。 2009年7月2日号の Nature ハイライト 細胞:iPS細胞の作製から3年 医学:ファンコニ貧血を修正したiPS細胞 発生:外肢の再生 宇宙:中間サイズのブラックホール 光学:量子光トランジスター 物性:非破壊読み出し可能な強誘電体メモリー 脳:見たいものだけを見る 医学:結核の毒性因子 発生:心臓のすべてを作り出すISL1前駆細胞 細胞:多能性とX染色体 目次へ戻る