Nature ハイライト

遺伝:マンモスのゲノミクス

Nature 456, 7220

化石や永久凍土中に保存された組織から単離された古代DNAは、ずっと人々の興味をそそってきた。細かく断片化していたり現代の微生物DNAにまみれたりしてはいるものの、その塩基配列からは絶滅した生物のありさまを垣間見ることができる。今回、個人ゲノミクスという革命をもたらしたのと同じ大量並行合成DNA塩基配列決定法が、古代DNAの領域にも変革をもたらした。今週号には、絶滅したマンモスのほぼ完全な核ゲノム塩基配列解読についての最初の報告が掲載されている。マンモスのゲノムをアフリカゾウと比較した結果、どちらのゲノムも意外なことに、塩基配列が完全に解読された有胎盤類のゲノムより少なくとも40%は大きいことが明らかになった(Letter p.387, N&V p.330)。最近の『米国科学アカデミー紀要』に16年間冷凍保存されたマウスからのクローン作製が報告されたことで、マンモスのクローン化も近いと伝えるニュースもちらほらみられる。H Nichollsは、その実現性がどのくらいあるのかという疑問に対し、現段階ではまだ空想の域を出ないと結論付けている。しかし、哺乳類のクローン作製にしても、ほんの15年前には同じように絵空事だと考えられていたのだから、辛抱強く見守るとしよう(News Feature p.310)。

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