Nature ハイライト

発生:歯の進化についての新口上

Nature 455, 7214

脊椎動物の歯の進化に関する古典的な説は、口腔と口歯は陥入によって外胚葉から生じるとする「外から内へ(outside-in)」モデルである。だが、遺伝子導入アホロートル(イモリ亜目の両生類)を用いた研究によって、実際はもっと複雑であることが示唆された。胚の細胞運命地図作製により、口歯が外胚葉と内胚葉の両方から生じ、中には発生起源が外胚葉と内胚葉の混合であるものさえあることが明らかになったのである。この結果は、歯の形成においては、上皮よりも神経堤間充織の関与のほうが優勢であることを意味している。進化の点からみると、歯の進化には神経堤細胞の歯形成能が必須の要因であって、上皮が「外から内へ」移動しようと「内から外へ」移動しようと関係ないことになる。

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