Nature ハイライト

宇宙:星形成中の銀河の内部を探る

Nature 455, 7214

銀河についてわかっている事柄の多くは、宇宙論的な意味で我々の「近傍」にある銀河の観測から得られたものだ。遠方宇宙の星形成部分で起きている現象を見るのは、はるかに難しい。遠方の銀河は暗くて視角も小さいので、観測可能なのは普通、銀河全体の性質だけだからだ。しかし補償光学のおかげで、ビッグバン後20億〜30億年に相当する赤方偏移を示す若い銀河の内部が観測できそうなところまできている。今回Starkたちは、遠方銀河から地球に届く光が途中の大質量天体の引力により増光する重力レンズ効果と補償光学を組み合わせて、典型的な星形成銀河J21352-0102を、100パーセクに達する線分解能で観測した。そして、コンパクト源を発見し、そこでは分子ガスが効率的に星に転換されており、現在の渦巻銀河にみられるような楕円体のバルジになる可能性があることを明らかにした。

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