Nature ハイライト

物理:原子の指紋

Nature 455, 7209

原子スペクトル線は従来、基本物質の離散的なエネルギー準位を明らかにするため観測されてきた。入射光周波数が2つのエネルギー準位の間隔と一致すると明瞭な吸収線が現れるので、この手法ではその吸収線を探して入射光周波数を変化させる。原子状のエネルギー構造をもつ量子系である人工原子も周波数分光法によって調べられるようになり、これにはコヒーレントなマイクロ波放射源が使われてきた。しかし、この手法は高周波数での実現が難しいため、エネルギー準位スペクトルに関する多くの情報は明らかにされていない。Bernsたちは、これと相補的といえる手法を開発した。この手法では人工原子のエネルギー準位は、周波数の調節によってではなく、放射の振幅によって走査され、周波数のほうはスペクトルの特性に合わせておく。この手法によって、多数の新しいスペクトル情報がとらえられるようになってきた。この手法は、さまざまな人工原子や天然原子に広く適用可能である。

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