Nature ハイライト

心理:報酬について考える

Nature 454, 7202

ヒトや他の動物では、ある報酬を確実に連想させる手がかり刺激が与えられると、その報酬が通常引き起こすような思考や感情が生まれる。こうした「条件性強化刺激」は、身近な会社のロゴから薬物に関連する手がかりまで、さまざまである。しかし、これらがどのように働くのか、その機構はまだよくわかっていない。Burkeたちは、特定の結果を生み出す手がかりと、一般的な刺激-情動表現を生み出す手がかりとを区別するような実験で、ラットの条件性強化について分析を行った。ラットはどちらの手がかりにも応答し、特定の結果を生み出す手がかりを用いた条件強化には、適応的な意思決定に重要とされる脳の一部、すなわち眼窩前頭皮質が重要だが、より一般的な幸福感を引き起こすような手がかりでの条件性強化にはこれが重要でないことがわかった。この2種類の手がかりへの応答にみられる不均衡は、薬物依存や摂食障害といった、手がかりへの応答が望ましい結果と反対のものになりかねない神経精神障害に特徴的である。この研究は、こうした不均衡も治療によって克服できる可能性を示唆している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度