Nature ハイライト

細胞:細胞周期では正のフィードバックが歩調を合わせている

Nature 454, 7202

細胞周期では、個々の細胞の大きさと形が一定に保たれるように、細胞の成長と分裂とが連結されている。これには膨大な数の遺伝子とタンパク質がかかわっており、それらが歩調を合わせて働くには、精巧な仕組みが必要になる。出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)の細胞周期の異なる段階に着目した2つの研究チームが、どちらの段階でも正のフィードバック機構によって決まった道筋どおりに事態が進行していることを明らかにした。Skotheimたちは、細胞周期のG1期の「スタート」と呼ばれるチェックポイントについて調べた。細胞はこの時点で、分裂を開始し、後戻りができなくなる。単一細胞の分析により、スタートが正のフィードバックに依存したスイッチとして働き、細胞周期にかかわる多数の遺伝子群の一斉転写と娘細胞の出芽とを協調させることが明らかになった。Holtたちは、有糸分裂後期の開始に注目した。この時点で、染色体対が一斉に分離するが、姉妹染色分体間の合着を解離させるのはセパラーゼで、この酵素はセキュリンによって抑制されている。セキュリンのユビキチン化と分解を調節する正のフィードバックループによって、後期での突然の切り替えが起こるのである。

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