Nature ハイライト 医学:損傷の原因は老人斑 2008年2月7日 Nature 451, 7179 アルツハイマー病患者の脳にみられる老人斑は、何十年もかけて生じると考えられてきた。こうした斑がアルツハイマー病の病因にかかわっているのかどうかについては、激しい議論が戦わされている。今回、アルツハイマー病のマウスモデルを使って多光子顕微鏡によりin vivoでアミロイド斑の形成を追跡する研究が行われ、局所的な神経毒性が顕在化する前にアミロイド斑が出現するという考え方が裏付けられた。意外にも、老人斑は24時間以内という短時間で急激に形成され、その1〜2日後にはミクログリアが集合して神経突起の変化が始まるらしい。これらの観察結果から、アルツハイマー病では、ゆっくり進む神経変性の間に時々突然の皮質構造変化が起こるという可能性が浮かび上がってくる。こうした動態変動が、この病気の進行速度を変化させているのかもしれない。 2008年2月7日号の Nature ハイライト 物理:3次元ホログラフィーに加わった新たな次元 化学:ゼオライトの形状選択性の解明 医学:アフリカの麻疹流行の消長 宇宙:エンセラダスの2つのプリューム 進化:時を旅するタンパク質 海洋:ゼネラリストが行う沿岸域の炭素代謝 環境:窒素堆積からの復活 世界人口動態:高齢化の加速 医学:損傷の原因は老人斑 目次へ戻る