Nature ハイライト

生理:試行錯誤で技を磨く

Nature 450, 7173

熟達した運動選手や演奏家でも、完璧なパフォーマンスができないことがあるのはなぜだろうか。1つの説は、こうしたパフォーマンスにみられる変動可能性は「ノイズ」であって、我々が自身の動作を制御する能力の基本的限界を反映しているとするものだ。しかし、鳴禽成鳥が十分に練習を積んだ歌をモデルとした実験からは、それとは別の説明が示されている。今回、ジュウシマツの成鳥が歌う一見定型的な歌をコンピューターを使って調べると、その中に微小な変動があることがわかった。歌がある閾値以上に変化するたびに矯正したところ、ジュウシマツは発声を適応させることを即座に学習した。このことから、いったん学習された歌は、加齢のような要因により発声系が微妙に変化しても維持できることが示唆される。したがって、行動に現れる「ノイズ」は、単なる邪魔な存在ではなく、パフォーマンスを洗練させるために神経系が行う試行を反映していると思われる。

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