Nature ハイライト

進化:選ばれたMEDEA

Nature 448, 7151

父母のどちらに由来するかで遺伝子の活性が決まる現象をゲノムインプリンティングといい、これによる遺伝子制御は、哺乳類と顕花植物(種子植物)の両方でみられる。しかし、進化の過程でインプリンティングを受ける遺伝子座がどうやって新たに生じうるのかは、まだよくわかっていない。今回、シロイヌナズナの3つの「Enhancer of zeste-like」遺伝子の進化が再構築され、およそ3,500万年前にアブラナ科で全ゲノム重複によって、SWINGER遺伝子からインプリンティングのあるMEDEA遺伝子が生じたことが明らかになった。そうなると、種子の発生に不可欠なMEDEAは、顕花植物の進化において比較的最近になって生じたことになる。MEDEAは、正のダーウィン選択の結果として、インプリンティングを受けるようになり新機能を獲得したが、SWINGERは元の機能をもち続けており、インプリンティングは受けていない。

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