Nature ハイライト

Cover Story:ヤモリとイガイ:強力な新規接着剤を生み出した「意外」なコンビ

Nature 448, 7151

表紙は、イガイ(ムール貝)にヤモリがくっついているところ。この意外なシナリオは、これら2つが共に物にくっつく能力をもつことからきている。ヤモリは、足に生えた細かい毛のおかげで天井にさえはりつける。しかし、移動のためには素早い着脱が必要なので、その接着は一時的なものである。着脱を多数回繰り返しても接着力の落ちない合成品を作るのは難しいことがわかっており、さらに別の障害もある。ヤモリの接着力は水中ではぐっと落ちるのだ。「ゲッケル(geckel)」と命名された新しい接着剤は、この水に対する弱さを克服したもので、ヤモリ(gecko)型のナノ構造と、イガイ(mussel)が水中接着のために使っている化学的手法を合体している。こうしてできたハイブリッド接着剤は、細い柱の配列を、イガイで発見された湿潤接着タンパク質をまねたポリマーで被覆したもので、乾湿両方の条件で1,000回以上着脱可能という素晴らしい可逆接着性能を示した。今回の開発は、幅広い実用に適した可逆接着剤の実現につながるだろう(Letter p.338およびwww.nature.com/podcast)。表紙:H Lee, W Lim, A J Kane。

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