Nature ハイライト
Cover Story:脳の細胞状態を捉える:前頭前皮質のアトラスが老化と疾患を探る道を開く
Nature 657, 8133
ヒトの脳は、機能の多様な数十億個もの細胞から構成されており、この複雑さのために、脳が老化したり疾患に侵されたりする際に何が起こっているかを理解することは極めて難しい。今週号ではPsychADコンソーシアムが、前頭前皮質の単一細胞トランスクリプトームアトラスによって、ヒトの脳を理解するための窓を開いている。前頭前皮質は、意思決定、自己制御、感情に深く関わっており、その機能不全は、精神疾患やアルツハイマー病などの変性疾患との関連が指摘されている。このアトラスには、疾患の診断を受けていない人々の他、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症などの患者を含む、1494人の脳に由来する630万個を超える細胞核が収録されている。本号の3報の論文のうち、最初の論文では、同コンソーシアムがアトラスの全容を示し、特にアルツハイマー病に重点を置いて、8つの疾患に関連する遺伝子発現パターンを明らかにしている。2報目では、疾患の徴候がない脳のデータを用い、乳児期から成人期後期にわたる前頭前皮質の細胞特異的なRNA発現のアトラスを作成したことが報告されている。3報目では、単一核トランスクリプトーム解析によって、脳疾患の遺伝的リスクが特定の細胞タイプにどのように影響するのかがマッピングされている。これらの研究は、他のNature関連誌で同時に発表される一連の論文と共に、脳の老化と疾患を探究するための新たな道を開く。
2026年9月24日号の Nature ハイライト
社会科学:人工衛星からのデータで武力紛争研究を前進させる
天文学:超大質量ブラックホールの動きを高精細動画に
素粒子物理学:反陽子をトラックで輸送
ペロブスカイト太陽電池:メートルスケールの太陽電池モジュールの作製技術
高分子:発泡プロセスによるインク不要の印刷
ソフトマテリアル:階層的な六方格子を作るペプチドの集合
計算物理学:生成モデルでまれな生体分子現象を捉える
有機化学:窒素原子の挿入と除去によるピリジンの位置編集
有機化学:アジンの水およびアンモニアとのC–Hカップリング
社会科学:白人ナショナリズム支持の傾向分析
古生物学:ゼレステス類の系統的位置付け
遺伝学:精子では非交差の遺伝子変換が減数分裂前に起きる
細胞生物学:ミトコンドリアに保存されたヘム感知機構
がん:遺伝的背景の違いが腫瘍進化を左右する
がん幹細胞:腸の再生と大腸がん転移における可塑性を制御するストレス応答性調節因子
計算生物学:機能を保ってタンパク質を多様化・小型化・大型化する生成AI
構造生物学:クリミア・コンゴ出血熱ウイルスのポリメラーゼの構造と阻害機構
植物科学:イネの光化学系超複合体の天然状態の構造

