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神経科学:脳疾患全体にわたるトランスクリプトームの脆弱性を示す単一細胞アトラス

Nature 657, 8133 doi: 10.1038/s41586-025-09573-z

神経変性疾患および神経精神疾患は、社会および公衆衛生に多大な負荷をもたらしている。しかし、これらの非常に複雑な病態の基盤となる分子機構についての理解は、いまだに限定的である。今回我々は、多様な脳疾患の病因についてより深い手掛かりを得る目的で、1494人の異なるドナーからの標本を用いて、630万個以上の細胞核を含む、ヒト背外側前頭前皮質の集団スケールの単一細胞トランスクリプトームアトラスを作成した。このコホートには、神経学的に正常な対照ドナーと、複雑なありふれた8種類の脳疾患、すなわち、アルツハイマー病(AD)、びまん性レビー小体病(DLBD)、血管性認知症(Vas)、パーキンソン病(PD)、タウオパチー、前頭側頭型認知症、統合失調症、双極性障害を持つドナーが含まれる。我々は、個人間の変動が遺伝子発現の変動のかなりの部分を説明することを示す。疾患間でトランスクリプトームの変動を比較することにより、mRNAプロセシングやタンパク質の局在などの基本的な細胞機能に関わる遺伝子が多く含まれる、普遍的なシグネチャーが明らかになった。こうした疾患横断的なシグネチャーを除くと、AD、DLBD、Vas、PDの間に、遺伝的にもトランスクリプトーム的にも、より強い一致が認められた。さらに我々は、健常な老化で観察される変動とは異なる、各種AD表現型間のトランスクリプトーム上の変動を特徴付けた。これにより、ADがより重篤な個人では、免疫細胞集団と血管細胞集団の増加を伴って、ニューロンの存在量が減少することが明らかになった。ADに随伴することの多い神経精神症状(NPS)を調べたところ、広範なNPSと関連して、皮質深層の興奮性ニューロンの存在量が増加していることが分かった。ADの進行を捉えるトランスクリプトームの軌跡を構築したところ、ADの早期および後期段階における細胞タイプ特異的な応答が関与していることが示唆された。今回の疾患アトラスは、神経変性疾患と神経精神疾患のトランスクリプトームの全体像を見渡す視点をもたらし、神経–免疫–血管系が関与する共通の過程と異なる過程に光を当てるとともに、治療介入のための標的候補を明らかにする。

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