Cover Story:シリコン量子技術:低温コントローラーがシリコン量子コンピューターの大規模化を駆動する
Nature 655, 8125
HRL Laboratories
シリコンマイクロチップは現代のコンピューターを動かす心臓部である。この技術を量子コンピューター用チップにも使えれば、スケーラブルな商用量子計算機を実現する有望な道筋となる。しかしこれまで、シリコンキュービットに基づくシステムの開発は困難であった。全ての極低温量子システムに共通する主要な課題は、電子制御回路が室温に置かれていて、それをキュービットに接続する配線が約300 Kの温度差をまたがなければならないため、システムの大規模化が制限されることである。今週号では、HRL Quantum Teamと共同研究者たちが、以前のシリコンベースシステムよりはるかに大規模で、高度に集積されたシリコン量子計算プラットフォームを提示している。この量子プロセッサーは、超伝導配線を介して、わずか4 Kで動作する制御チップに接続されている。このシステムは、複数ラウンドの誤り訂正を自律的に繰り返し実行し、この制御アーキテクチャーをはるかに大規模なシステムにも使用できる可能性を示した。表紙に描かれているのはこのシステムの構成であり、4 Kで動作する極低温コントローラーを搭載したマザーボードが橙色で(垂直に配置された部分)、ミリケルビン領域で動作するキュービットチップを搭載したドーターボードが青色と紫色で、両者を結ぶ超伝導ケーブルが白色でそれぞれ描かれている。また、B Undsethたちによる別の論文も、同じシリコンキュービットの課題に取り組んでいる。Undsethたちは、1つの可動キュービットを4つの静止キュービットの間でシャトリングできるようにし、その結果、彼らのシステムは、量子誤り訂正の中核をなすパリティチェック測定を実行できるようになった。
2026年7月30日号の Nature ハイライト
宇宙物理学:平均への回帰で見直す地磁気嵐
メタマテリアル:壊れ方をプログラムできるメタマテリアル
ナノ粒子合成:溶融塩中におけるコロイド金属窒化物の合成
膜:酸化グラフェン-ポリドーパミン膜の層間隔の制御
有機化学:脱カルボニル的クロスカップリングの立体制御
生物多様性:アマゾン川流域において知識を脅かす要因
進化学:協力の拡大が富の不平等を生む
神経科学:光経験が視覚皮質の臨界期を閉じる
神経科学:海馬のCA3とCA1では場所受容野の数が違う
神経回路:動機付け行動回路を規定する転写因子コード
神経回路:ハンチントン病の治療標的候補が見つかった
免疫学:STINGの単一アミノ酸置換が機能に及ぼす影響の全体像
人工知能:診療を担う自律型医療AI
人工知能:複数回診療を管理する臨床AI
生化学:内在性代謝物が分子接着剤として酵素の調節に関与する
植物科学:水分不足を感知する植物タンパク質
構造生物学:互いに逆向きに動く2個の複製フォークが生じる仕組み
構造生物学:シャペロンが導くRISC組み立ての構造機構

