Nature ハイライト
Cover Story:顎関節の進化:頭蓋化石が明らかにした哺乳類の顎への複雑な進化経路
Nature 647, 8089
哺乳類を他の脊椎動物と区別する特徴の1つは顎である。有顎脊椎動物の多くは下顎に複数の骨を持つが、哺乳類の下顎の骨はたった1つである。この顎構造の進化は、化石記録において、哺乳類を他の脊椎動物と区別する指標として長年用いられてきた。今週号ではF Maoたちが、哺乳類の顎関節の進化に関する新たな詳細を明らかにしている。研究チームは、トリティロドン類のポリストドン(Polistodon chuannanensis、表紙はその想像図)を再検討するとともに、モルガヌコドン類の新属新種Camurocondylus lufengensisを報告し、マイクロコンピューター断層撮影(マイクロCT)を用いて、哺乳類の祖先であるこれら2種の頭蓋骨を詳細に調べた。ポリストドンの頭蓋化石は約1億6000万年前のもので、これまで知られていなかった顎関節の形状が見られた。Camurocondylusの頭蓋骨はさらに古く、約2億年前の前期ジュラ紀にさかのぼるもので、顎関節の新規な形状が認められた。こうした多様な顎関節は、哺乳類の顎に至る進化の経路が、生態的圧力への応答により独立して生じた複数の新機軸の1つであることを示していると、著者たちは主張している。
2025年11月13日号の Nature ハイライト
超伝導キュービット:超伝導キュービットの寿命を記録的に向上させる材料
機械学習:人間の行動により近づいた人工知能
電磁遮蔽:高性能の金属/MXene複合材料による電磁遮蔽
画像化技術:原子分解能で捉えたペロブスカイトのエッジ構造
材料科学:軟磁性コンポジット繊維の大量製造と機能性織物への応用
材料科学:二次元ポリアラミドからなる気体不透過性のポリマー
電極触媒:最適的な電極触媒を探索するAI駆動型実験プラットフォーム
大気科学:廃棄物処理場からのメタン排出量の大きな不確かさ
遺伝学:体細胞変異を疫学的に研究する
遺伝学:父親の年齢が子の疾患リスクに影響
遺伝学:膀胱がんリスクの男女差が生まれる仕組み
遺伝学:あるタイプのアルツハイマー病治療に光明
系統学:パンデミック規模の系統樹の確信度を評価する新手法
微生物学:バクテロイデス門のBAM複合体のクライオEM構造
免疫疾患:1個の遺伝子の変異が全身性エリテマトーデスにつながる
細胞生物学:近接標識法を転用して抗腫瘍免疫を大幅に増強する
がん:力学的拘束が腫瘍の表現型転換を制御する
分子生物物理学:シグナル伝達の時間的動態の変化を調べる
構造生物学:膜上mTORC1のシグナル統合機構

