Nature ハイライト

Cover Story:皮膚付属器の始まり:羽毛の進化に新たな視点をもたらす三畳紀の爬虫類の複雑な「クレスト」

Nature 643, 8074

<i>Mirasaura</i>のホロタイプ標本。鳥類様の頭蓋と背に沿って伸びた長い突起(クレスト)が見て取れる。
Mirasauraのホロタイプ標本。鳥類様の頭蓋と背に沿って伸びた長い突起(クレスト)が見て取れる。 | 拡大する

Stephan Spiekman

表紙は、特徴的な「クレスト」を持つ、中期三畳紀(約2億4700万年前)の爬虫類Mirasaura grauvogeliが、昆虫を狩っている様子を描いた想像図である。今週号ではS Spiekmanたちが、Mirasauraの化石標本を分析し、この小型の爬虫類が、背に沿って複雑な外皮付属器の突起(クレスト)を持っていたことを明らかにしている。羽毛や毛のような複雑な付属器の進化は、哺乳類、爬虫類、鳥類を含む分類群である羊膜類の化石記録で見つかっている、同等に複雑な付属器と結び付けられることが多い。しかしSpiekmanたちは、Mirasauraの場合、この付属器は羽毛と一部類似点があるものの、明確に羽毛ではないことを示した。むしろこのクレストは、脊椎動物の皮膚が驚くべき意外な形で進化・発達し得ることを示す証拠であり、爬虫類の皮膚、さらには羽毛や毛の起源が、従来考えられていたよりも複雑な進化的論点であることを示唆している。

2025年7月31日号の Nature ハイライト

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