Nature ハイライト
免疫学:SP140による二段構えのウイルス防御
Nature 643, 8074
今回、エピジェネティック調節因子であるSP140が、選択的にI型インターフェロンmRNAを分解することが明らかにされた。SP140は、通常はmRNAを安定化するRESIST(regulated stimulator of interferon via stabilization of transcript)と呼ばれる新規因子を阻害することによって、これを行う。またSP140自体も核内構造体(NB)を形成して、ウイルスの転写を阻害する。ウイルスは、細胞内因性の免疫を回避するためにNBを撹乱しようとするが、そうするとRESISTの阻害が解除されて、抗ウイルスインターフェロンの産生が急増し、ウイルスは根本的にジレンマに陥る。
2025年7月31日号の Nature ハイライト
素粒子物理学:バリオンで初めて確認されたCP対称性の破れ
素粒子物理学:初めて観測された反ニュートリノと原子核のコヒーレント弾性散乱
量子光学:高輝度のオンデマンド二光子光源
光物理学:ビーム形状を自在に操作できるメタレーザー
光学材料:深青色領域の安定したLED材料
医用生体工学:コバンザメに着想を得た水中接着システム
液晶:双安定エマルション系の高速スイッチング
人類学:中国の新石器時代の母系氏族社会
神経発生:エンハンサーの違いで生まれるヒトとマウスの脳の差
疫学:西アフリカにおけるエムポックスウイルスの伝播動態
分子生物学:DNAホモポリマー合成によるファージ防御戦略
微生物学:RIFINの一部はNK細胞の活性化免疫受容体にも結合する
免疫学:SP140による二段構えのウイルス防御
がん:コレステロールが膵がん転移の器官選択性を規定する
細胞生物学:サイクリン依存性キナーゼは核と細胞質での有糸分裂シグナルの共役に関与する
がん:抗がん剤シタラビンが強い神経毒性を示す原因
生化学:mRNAのコドンを変えてタンパク質に普通にはないアミノ酸を組み込む
計算生化学:計算だけによって行われた酵素設計
構造生物学:短鎖脂肪酸受容体の活性化と調節