Nature ハイライト

生態:処罰がこの世から消えることはない?

Nature 444, 7120

個人と社会の利害が対立する社会的ジレンマの下では、評判の形成と高いコストのかかる処罰とによって協力行動を引き出すことが可能である。この2つの戦略には、直接的処罰が罰する者と罰される者の両者にコストを負わせるのに対し、評判の形成という機構では「処罰者」のコストが少ないという違いがある。したがって、評判の形成が実効性をもつような環境では、高いコストがかかる処罰は必ずや消滅するはずである。ところが意外にも、現実ではそうはならない。低コストで評判を形成でき、間接的互恵行動が有効に作用する公共財のゲームを行ったところ、参加者は高いコストがかかる処罰と評判形成とを組み合わせる戦略を好んだのである。この組み合わせ戦略では、ただ乗りをする者(費用負担をしないで公共財の便益を享受する者)はより厳しく処罰された。処罰行為は、価値を上げるような評判により急激に減少した。こうした状況要素は、処罰という選択肢が進化の過程で生き残るのに寄与した可能性がある。

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