Nature ハイライト
Cover Story:「サイボーグ」オタマジャクシ:柔軟な電極インプラントによって発生中の神経活動をマッピングする
Nature 642, 8069
胚発生中の脳で神経活動を追跡する能力は、脊椎動物の脳がどのようにニューロンを自己組織化して形成するかを理解する上で重要である。今週号ではJ Liuたちが、この課題に対する生体電子工学的解決策として、胚形成期に埋め込むことのできる、柔軟で伸縮自在なメッシュ状マイクロ電極アレイを提案している。このアレイは、胚の成長に伴いニューロンの電気活動をマッピングする。カエルおよびメキシコサンショウウオ(アホロートル)の胚で、このメッシュアレイを神経板と呼ばれる後に脳となる二次元(2D)構造に埋め込んだところ、アレイは神経板と一体化し、脳の発生に伴って伸長や変形を繰り返して、個々のニューロンの活動やニューロンの集団ダイナミクスがどのように出現・進化するかについてのフィードバックをもたらした。表紙は、この過程を表現した想像図であり、カエルの胚発生における主要な4つの段階においてメッシュアレイが配置された状態を表している。
2025年6月26日号の Nature ハイライト
天文学:金属と塵が極端に少ない銀河内の水素分子
系外惑星:若いデブリ円盤に見つかったサブ木星型惑星
量子物理学:極低温中性原子によるハバード量子シミュレーター
量子情報:非局所的量子相関から得られる真の乱数
自由電子レーザー:X線自由電子レーザー励起アト秒レーザー発振
熱輸送:界面を横切るフォノン輸送のダイナミクス
トポロジカル絶縁体:ソフトクランピングによる低損失フォノニック導波路
生態学:漁業の影響で産卵場所を忘れたニシン
古生物学:異時性が形作った大型ティラノサウルス類の進化
系統発生学:アーキアゲノムから真核生物誕生の過程を探る
メタ科学:研究の方向転換がもたらす不利益は普遍的で大きい
神経科学:炎症性痛覚過敏の成因
生物工学:塩性廃水中の有機汚染物質を浄化できる細菌の開発
生態学:コウモリ白鼻病の菌類病原体には2種の隠蔽種があった
医学研究:がん細胞のLOYは周囲の細胞に影響を及ぼす
がん:髄芽腫でのがん遺伝子の役割を単一細胞オミクス解析で明らかにする
分子生物学:レトロトランスポゾンから新しいゲノム編集系を作り出す
分子生物学:DNA-PKの染色体融合を防ぐ分子機構
遺伝学:動物の進化の初期に生じた、遠く離れた遺伝子を調節する機構