Nature ハイライト

Cover Story:網膜の修復:視細胞前駆体で損傷した網膜を 修復

Nature 444, 7116

視細胞の欠損は、多くの網膜疾患において不可逆な失明の原因となる。成体の網膜に脳または網膜の幹細胞を移植して損傷を修理しようとする試みでは、新たな視細胞ができることはなく、また、移植された細胞が網膜のニューロンと連結する徴候も視覚を取り戻した徴候もほとんどみられず、大半は失敗に終わっている。今週号では、マウスを使った実験により、移植される細胞が、発生の特定の段階にある分化の方向づけがされた桿体視細胞前駆体である場合、成体の網膜は新しい視細胞を取り込むことができることを示す。発生上の段階は転写因子Nrlの発現によって示される(表紙中央の細胞の緑色で標識された部分;桿体視細胞の感光色素であるロドプシンは赤色で示される)。今回の研究の結果により、胚または成体に由来する幹細胞から移植に適する細胞を作製することへの道が開かれるであろう。さらにこの知見は、中枢神経系の修復には未分化の幹細胞が最適とする一般的な思い込みに、異議を唱えるものでもある。

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