Nature ハイライト

材料:本物の金属になりうるプラスチック

Nature 441, 7089

金属と同じように電気を通すプラスチックがある。しかし、金属のように見える一部の伝導性プラスチックでも、それらを「金属的」とよぶのは厳密には正しくない。金属は、冷却するにつれて導電性が増加するという性質をもつため、半導体のようなほかの導電性材料と区別されるのである。  多くのプラスチックは電気を通すため、広い意味で「金属的」と称されることが多く、現在、帯電防止コーティングから安価で丈夫かつフレキシブルな回路を用いたプラスチック・エレクトロニクスに至るさまざまな用途に向けた研究が進められている。 K Leeたちは、本物の金属の古典的特徴を示す初の導電性プラスチックで、ポリアニリンとよばれる物質について報告している。導電性ポリアニリンは数十年前から知られているが、Leeたちは新しい方法でポリアニリンを合成した。この方法は、サラダのドレッシングのように油滴を水中に懸濁させ、その油滴の中で長鎖ポリマー分子を作製するというものである。この方法で作製した後で少量の酸を加えることで導電性をもたせたポリアニリン膜は、非常に良好な電気伝導性を示すだけでなく、室温から5ケルビン以内にまで冷却すると導電性がさらによくなることもわかった。この真の「プラスチック金属」は、導電性ポリマーの応用の幅を広げそうである。

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