Nature ハイライト

遺伝:汚泥から得られた汚水処理細菌のゲノム

Nature 440, 7085

1種類の生物のゲノム塩基配列を解読するという環境ゲノミクスの比較的新しい手法を使って、自然環境から直接得た試料から、珍しい細菌Kuenenia stuttgartiensisのゲノム塩基配列がまとめ上げられた。この菌は汚水処理に利用できる可能性があり、環境ゲノミクス手法を用いてこれまでに塩基配列が解読された生物の中で、最も複雑な生物種である。  M JettenとM Wagnerを中心とする研究チームは、多くの微生物種が混在するバイオリアクター中の微生物集団から試料を採取し、K. stuttgartiensisのゲノムを組み立てた。K. stuttgartiensisは非常に成長が遅いため、十分な量の試料を得るのには1年を要した。今週号には、この菌のゲノムの詳細とその代謝系が報告されている。  今回の研究で、K. stuttgartiensisがもつ風変わりで巧妙な代謝の仕組みの一部が明らかになった。この菌は「アナモックス菌」、つまりアンモニアの嫌気的酸化からエネルギーを得ている細菌あることから、汚水中の窒素含有化合物の処理に役立つ可能性がある。

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