Nature ハイライト

Insight:膜の生物学

Nature 438, 7068

閉じた膜系は、細胞の生命活動の特徴となる性質である。閉じた膜は、細胞と外部環境を隔てる障壁となり、真核生物では、細胞内部を機能の異なる区画に分けている。膜がかかわる細胞過程の重要性は、ゲノム配列解読計画の結果、大半の生物で遺伝子産物の約3分の1を膜タンパク質が占めるとわかったことで一層はっきりした。  今週号のInsight特集では、とみに複雑化している巨大分子系の構造解析によって、この領域の研究に根本的な変革が起こりつつある状況を考察する。そして、このような視点から見た、膜の生物学のホットな話題を紹介する。その一例が脂質二重層内に埋め込まれたアクアポリンの構造に関する画期的な論文だが、その他に現在行われている膜の生物学研究のさまざまな側面を探る、一連の総説も掲載されている。  またF R MaxfieldとI Tabasの論文では、コレステロールと脂質組成の疾患における役割が研究されている。シグナル伝達分子の役割に関する新たな発見は、アルツハイマー病や2型糖尿病などの疾患の解明を進めるのに役立つと考えられ、病気の発症機構や治療に関する重要な発見につながりそうだ。

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