Nature ハイライト

構造生物学:細胞周期におけるセパラーゼ調節の構造基盤

Nature 596, 7870

有糸分裂の際には、プロテアーゼであるセパラーゼの活性化が染色体分離の引き金となる。セパラーゼは、複製された2本の染色体を1つにまとめているコヒーシンタンパク質を切断する。セパラーゼの活性化は、その阻害物質であるセキュリンとCdk1–サイクリンBの分解によって引き起こされる。今回A Bolandたちは、セキュリン、もしくはCdk1–サイクリンBと複合体を形成したヒトセパラーゼの高分解能のクライオ電子顕微鏡構造を決定し、セパラーゼの分子レベルでの調節について、初めて得られた知見を明らかにしている。どちらの複合体でも、セパラーゼを阻害しているのは、基質の結合を妨げる偽基質モチーフである。著者たちは、Cdk1–サイクリンBがセパラーゼ自身の持つ複数の自己阻害ループを用いることでセパラーゼを阻害するという、関心を集めそうな結果を報告している。

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