Nature ハイライト

気候科学:海水準上昇に見られる氷河融解の大きな痕跡

Nature 592, 7856

カナダ西部最大の氷河、クリナクリニ氷河。面積は500 km<sup>2</sup>近くに及ぶ。
カナダ西部最大の氷河、クリナクリニ氷河。面積は500 km2近くに及ぶ。 | 拡大する

Credit: Brian Menounos

氷床の質量損失とそれに伴う海水準上昇の推定には、数多くの手法が用いられている。しかし、こうした手法の多くは氷河のモニタリングには適していない。今回R Hugonnetたちは、2000〜2019年の地球上の全ての氷河の標高変化を記録した膨大なデータを評価している。得られた標高変化から、氷河の質量損失が1年当たり267 ± 16ギガトンであると算出された。これによって、観測された海水準上昇の約4分の1が説明される。質量損失速度には大きな地域差があるものの、全体的には1年当たり約50ギガトン加速していることが見いだされた。重要なのは、この取り組みによって、氷河の質量損失に関わる不確かさが大きく低減したことである。

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