Nature ハイライト

Cover Story:脊椎動物研究のフロンティア:脊椎動物種の質の高い塩基配列がゲノム進化に光を当てる

Nature 592, 7856

「脊椎動物ゲノムプロジェクト(Vertebrate Genomes Project;VGP)」は、約7万種に上る現生の脊椎動物種全てについて高品質なゲノムアセンブリを行い、生物学、疾患、保全の根本的な問題に取り組むことを目指している。今週号では、このプロジェクトが、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類を含む主要な脊椎動物系統を代表する16種の質の高いゲノムを報告する基幹論文を発表して、この目標に一歩近づいている。まず著者たちは、アンナハチドリ(Calypte anna;表紙写真)において塩基配列解読とゲノムアセンブリの方法を評価し、次にその知見を適用して他の15種のアセンブリを行った。得られた結果により、既存のゲノムの誤りの修正や欠落した塩基配列の追加だけでなく、ゲノムの進化と生物学的特性の謎解きも可能になった。このプロジェクトのメンバーはまた、複数の関連論文で他のさまざまな動物のゲノムを報告しており、脊椎動物のゲノム解析に基づいて、神経伝達物質のオキシトシンやバソトシンとそれらの受容体の普遍的な命名法を提案するとともに、カモノハシとハリモグラでは性染色体の複雑な進化を、コモンマーモセットでは母系染色体と父系染色体の間の多様な関係を明らかにしている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度