Nature ハイライト

物性物理学:モアレグラフェンにおける相関を熱力学的に調べる

Nature 592, 7852

ねじれ2層グラフェンにおける超伝導や異常金属相などの強相関相の微視的起源は、まだ明らかになっていない。その理由の1つは、グラフェン中の電子の電荷、スピン、バレーといったさまざまな自由度(これらは「フレーバー」とも呼ばれる)を考慮して機構的知見を得る必要があるからである。今回P Jarillo-Herreroたちはこれに関連して、ねじれ2層グラフェンにおける強相関の起源には交換相互作用が不可欠であることを実証している。この結論は、モアレグラフェンにおける全ての整数充填での化学ポテンシャルのピン止めによって明らかになった、スピン/バレーのフレーバー対称性の破れの観測に基づいている。著者たちはまた、異常金属相の理論的説明の絞り込みに役立つ電荷拡散率も測定した。今回の結果は、ねじれ2層グラフェンにおける電子相の理解を深めるもので、より一般的には、これによって強相関相の理解も深まる可能性がある。

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