Nature ハイライト

Cover Story:ハヤブサの飛行:環境の変化、記憶、遺伝子が鳥類の渡りを形成する

Nature 591, 7849

追跡用の発信機を装着したハヤブサ。ロシア・タイミル半島にて。
追跡用の発信機を装着したハヤブサ。ロシア・タイミル半島にて。 | 拡大する

Credit: Andrew Dixon

北極圏に生息する鳥類の渡りルートを何が決めているのかについては、ほとんど分かっていない。今回X Zhanたちは、ハヤブサ(Falco peregrinus)が北極圏の繁殖地から移動してユーラシア全体のさまざまな場所で越冬する際の渡りルートを調べている。彼らは、56羽のハヤブサの人工衛星追跡データと35例のゲノム塩基配列再解読データを組み合わせ、古気候データを用いてこの鳥類の過去の繁殖地と越冬地の分布を再構築した。その結果、ハヤブサの渡りのパターンが主に最終氷期極大期末(2万2000年前)以降の環境の変化によって形成されたことが分かった。また、ハヤブサのより長い距離の渡りに役立っている可能性のある遺伝的要素として、ADCY8の優性(顕性)の遺伝子型が特定された。これは長期記憶の発達と関連付けられることから、渡りルートの維持に寄与していると考えられる。表紙は、追跡用のGPS発信機を装着したハヤブサである。

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